ASUOLA's scrapbook

帰りの電車の中で不意に、たしかお互い社会人2年生くらいだった頃、(彼の前で彼の合意のもと)彼の携帯を借りて代理でメールを打ったときに、予測変換の「お」の一番最初に「おしっこ」が出てきて、「おしっこ」という幼児的な単語選びと彼のキャラの間にギャップを感じてそのままおしっこと入れてみたところ、次の予測に「ドリンクバー」が出てきたことを思い出した。今の今まで完全に忘れていた。

おしっこドリンクバー。どういうことなんだろうか。彼は何を思ってこの単語入力したんだろうか。当時の私は「何これ?」と一瞬思った程度で、すぐに「おしっこドリンクバー」を消し、彼に打つよう言われたメールの内容を普通に打ち、そのまま忘れた。

彼氏告白を受けた今は流すことなどできず、真剣に考えてしまう。彼氏の願望なんだろうか。「烏龍茶」「爽健美茶」「ジンジャーエール」「カルピス」などと書いてあるところに、「佐々木希」「石原さとみ」「堀北真希」「新垣結衣」とか書いてあって、紙コップを置いてボタンを押すと彼女たちの尿が出るシステムなんだろうか。そこで突然笑えてきた。急に来たので噴いてしまった。今日の夕方の下り急行電車の中で銀のポールを掴みながら「グギュッ、フッ、フククッ」と突然不気味に笑った20代の女を見た人が居たらそれは私かもしれない。

家に着いてから、夕食も食べずにずっと、結婚と尿について考えている。彼の顔面に尿を浴びせている新妻の私を想像する。彼の望むことかもしれないが、すごく心苦しい。彼の尊厳を踏みにじっている気がする。何回か実行したら、満足してくれるのだろうか。それとも定期的に要求され続けるんだろうか。3日に一度とかは、相当つらい。週1でも結構つらい。月1なら…。いや、ずっとやってると慣れるんだろうか。夫の顔に尿をかけることに慣れた私…。両親の顔が浮かぶ…。あああ…。

私がそれを断ったとして、私たちが破局したとして、その後私は結婚できるのだろうか。彼以上にしっくり来る人はあらわれるのだろうか。そんな人に私は選ばれるのだろうか。一生結婚できないのは、いやだ。焦るのも、いやだ。それに彼のことは好きだ。元々私から好きになって私から告白した。それまで受身だった私が積極的になったのは初めてのことだった。それまでの恋のようにそれとなく好意を伝えても全然伝わらないので、死ぬ思いをして告白した。付き合い始めたあと、彼にゲイの噂があったことを知った。結果としてゲイでは無かったけど。

そこまでしたのに、6年付き合ったのに、終わってしまうのか。それはいやだ。別れたくない。結婚するなら彼としたい。というか何なんだあの男は。彼女から妻にする条件が、おしっこか。力が抜ける。なんでこんなのを好きになったんだろう。私は結局、「おしっこを顔にかけてあげてもいいか結婚してください」というようなことを言わなきゃいけないんだろうか。結婚って何なんだろう。想像していた結婚と違う。おしっこがどうのと言いながら逆プロポーズは嫌だ。彼から言葉が欲しい。おしっこOKのあとでいいから。でも期待できるのかな。彼は男性性役割的なものを無視しているから。普段はそれでいいんだけど、でも、プロポーズまでそうなるのは…。

もう嫌だ。何も考えたくない。冷蔵庫おにぎりを食べよう。そろそろ悪くなってしまう。

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